ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ全集



ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ全集
ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ全集

商品カテゴリー:ミュージック,CD,DVD,クラシック,音楽
収録曲:ピアノ・ソナタ第1番ヘ短調op.2-1, ピアノ・ソナタ第2番イ長調op.2-2, ピアノ・ソナタ第3番ハ長調op.2-3, ピアノ・ソナタ第5番ハ短調op.10-1, ピアノ・ソナタ第4番変ホ長調op.7, ピアノ・ソナタ第6番ヘ長調op.10-2, ピアノ・ソナタ第7番ニ長調op.10-3, ピアノ・ソナタ第8番ハ短調op.13「悲愴」, ピアノ・ソナタ第9番ホ長調op.14-1, ピアノ・ソナタ第10番ト長調op.14-2, ピアノ・ソナタ第11番変ロ長調op.22「大ソナタ」, ピアノ・ソナタ第12番変イ長調op.26「葬送」, ピアノ・ソナタ第13番変ホ長調op.27-1, ピアノ・ソナタ第14番嬰ハ短調op.27-2「月光」, ピアノ・ソナタ第15番ニ長調op.28「田園」, ピアノ・ソナタ第16番ト長調op.31-1, ピアノ・ソナタ第17番ニ短調op.31-2「テンペスト」, ピアノ・ソナタ第18番変ホ長調op.31-3, ピアノ・ソナタ第19番ト短調op.49-1, ピアノ・ソナタ第20番ト長調op.49-2, ピアノ・ソナタ第21番ハ長調op.53「ワルトシュタイン」, ピアノ・ソナタ第22番ヘ長調op.54, ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調op.57「熱情」, ピアノ・ソナタ第24番嬰ヘ長調op.78, ピアノ・ソナタ第25番ト長調op.79「かっこう」, ピアノ・ソナタ第26番変ホ長調op.81a「告別」, ピアノ・ソナタ第27番ホ短調op.90, ピアノ・ソナタ第28番イ長調op.101, ピアノ・ソナタ第29番変ロ長調op.106「ハンマークラヴィーア」, ピアノ・ソナタ第30番ホ長調op.109, ピアノ・ソナタ第31番変イ長調op.110, ピアノ・ソナタ第32番ハ短調op.111,
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言葉に表すのは難しい…

ベートーヴェンのピアノソナタといえば、この演奏がなければ始まらない。まあ、基本というやつですね。美しいとか素晴らしいとか、そんな言葉はいりません。音楽の本質を露にした演奏には、言葉なんか邪魔なだけだ。一曲ごとにみていけば、これよりも素晴らしい演奏はある。(例えばハイドシェックの「テンペスト」や、CD化されていないが「告別」など)そんなこととは関わりなくこの全集は永遠ともいえる存在である。
永遠の指針となりうる名盤

 このソナタ全集を買ってから大分過ぎましたが、おかげで、レコードライフが豊なものになりました。演奏の出来にムラがないので、他のピアニストがCDや演奏会で弾いているものと比較してみても楽しいし、バックハウスはどういう風に弾いているんだろう?という、一種の基準が生まれました(ただ、24番のテレーゼ・ソナタは、どうにも納得できない演奏でしたが…)。

 ベーゼンドルファーという、癖のあるピアノでの全集だったので、購入の時に大分迷いましたが、バックハウスはこのピアノの音の魅力を十分に引き出して、そこいらのピアニストがスタインウェイで弾いたものよりも良い音になっていて、全然気になりませんでした。音質も、マスタリングが変わったという効果が驚くほど出ているとは思いませんが、なかなか良い音質で楽しめると思います。

 テクニック的には、すでに時代が経ってしまった感もある気がしますが、みなぎるような精神性を感じとることができる点で、この番の右にでるものはないでしょう。フォルテシモもときに驚愕するものもあれば、しっとりと歌わせるピアニッシモもたまりません。

 バレンボイム、グルダ、ブレンデル…等の巨匠を始め、数多くの素晴らしいピアニストの全集があるなかでも、確固たる地位を占めているといっても過言ではない永遠の名盤といえると思います。どうしてもグルダが好き!とかでなければ、迷わずにこれをお勧めしたいです。


新全集には新全集の良さが……

 手元にあるのはLPなので、CDの音はわからないことをあらかじめおことわりしておきます。

 バックハウスの演奏の特徴の一つが、ベーゼンドルファーの持ち味を生かした深々としたウォームな音色にあるように思う。そしてデッカのステレオ録音は、バックハウスの音を良くとらえている。
 技巧的に万全かといえば、決してそうではない。「熱情」のようなスパルタンな曲では、少々指のもつれが気になることもある。ただし、それは「気にすれば」という話であって、音楽の形を壊すような種類のものではない。
 解釈は、旧全集と「大して」違うわけではない。私が偏愛している最後の32番のソナタにしても、旧全集であろうと、カーネギーホールでのライヴであろうと、やっていることは基本的に「あんまり」変わっていない。だから、旧全集の方が良いという人の気持ちは痛いほどわかる。
 でも、人間だから、同じことをやろうとしても、同じことをやっているつもりでも、その時、その場所によって、違う結果が出る。それは、フィジカルの変化も影響するだろうし、メンタルなコンディションも関係しているのだろう。
 話を32番のソナタに戻せば、第2楽章のあの感動的なアリエッタを、バックハウスはこともあろうに、あっさりと、スピーディーに駆け抜けていく。そして、第4変奏あたりで、このテンポで走らなければならなかった理由が見えてくる。そういう設計図は、従来と変わらないのだが、曲の頂点となる第4変奏以降の部分で、えもいわれぬ「間」の感覚は、この演奏でしか味わえないもののように思う。
 同じような印象を、30番や31番にも持っていて、やはりこれは得難い全集であるという結論に達する。
 体が思うようにならない人生の黄昏時を迎えて、バックハウスはただ良い音を求めて新たな録音を遺したのか、あるいは、旧全集で言い残したことがあったのか、考えながら聴くのも悪くない。
バックハウスは旧モノラル全集の方を聴くべきです

 既に下記レヴュアー(三浦候史郎氏)が記されているように、僕もバックハウスのベートーヴェン:ピアノ・ソナタ全集は旧盤(50〜54年、モノラル録音)が断然の名盤だと思います。
 更に僕の考えを付け加えると、三浦氏は新旧両録音に聞くバックハウスの技術レベルは大差がないと言われていますが、僕にはなかなかその差は大きいと聴こえます。特に打鍵のインパクトの違いは歴然として、新盤は録音がいい分、その衰えた打鍵による汚い和音が少々堪え難いとさえ思うときが少なくないのです。
 しかし、新盤にも旧盤にない聞き所はあります。旧盤はいずれも凝縮力に優れた演奏で聞かせるのに対して、新盤は技術的制約はあるもののスケールの大きさで芸術性をカバーしています。よって、第15、18、21、24、28番などは、旧盤に劣らず備えておいても無駄ではありません。

追伸:バックハウスのベートーヴェン演奏には、旧モノラル盤全集以外に、「カーネギーホール・コンサート、1954」という大名盤があります。ここには、スタジオ録音と違ったライブにおける即興性溢れたバックハウスの姿を聞く事ができます。特に、第32番は空前絶後の大名演と言って、言いすぎる事はないと思います。
旧盤をおすすめ

〜バックハウスは2度のベートーベン・ピアノソナタ全曲録音を行っている。1度目は1950年から1954年にかけてバックハウス66歳から70歳のモノーラル録音。2度目は1958年から彼の死の年1969年にかけて74歳から85歳までのステレオ録音である。ただし《ハンマークラヴィーア》だけは彼の死による録音の中断のため旧録音しか残っていない。

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いずれの録音も高齢になってからのものであるが、やはり旧盤のほうが技巧的に安定している。しかし、技巧的な差は小さいと考えて良いだろう。音源は当時の録音技術の長足の進歩のためか新盤は旧盤よりはるかに良い。旧盤はホワイトノイズが聞き苦しい。

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演奏は旧盤のほうが新盤より高いテンションとモチベーションを感じさせ密度が濃い。新盤は旧盤においてすでに偉業を成し遂げたあとであるためか緊張感よりもリラックスを感じさせる。だが新盤はステレオによる新録音を残したという価値だけではなく旧盤とは違う作品に対するアプローチを示したという意味で価値を持つと思う。つまり新盤は旧盤よりおおらかで〜〜、細部の表現や技巧にとらわれない、くったくのない演奏といってもいいかも知れない。

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たとえば作品101(第28番)は新盤のほうがスケールが大きい演奏といえるだろう。他方《悲愴》第2楽章の美しさと繊細さ、味わい深さは旧盤が勝っているように思える。《ワルトシュタイン》においては旧盤ではロンドの主題の後、音楽が止まるという妙味を聴かせてくれるが新盤にはそれはない。

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バックハウスのベートーベンに対する解釈は旧盤のほうが新盤より精緻であり完成度が高いと思う。録音は断然新盤の方が良いが、バックハウスによるベートーベンの神髄を聴きたいのなら旧盤をおすすめする。〜



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